シュムケント午後8時。街の外れにあるバスターミナルではビシュケクへ向かう大型バスが次々に出発。一部のバスはビシュケクを経由してイシククル湖畔のチョルポン・アタ行き。選んだバスはちょっと古めのドイツ製「SETRA」。ビシュケク行き。料金は700 Tenge(約5ドル)。ちなみに乗車にあたっては、キルギスビザの提示が必要だが、カザフ・キルギス両国間はビザ相互免除、日本人もキルギスビザは不要。なので、乗客でキルギスビザが必要だったのは隣合わせたウズベキスタン国籍の独りだけ。
さて、出発して2時間ほどの道路脇の食堂で休憩。この時間になってやっと日が暮れた。キルギス・ウズベキスタン国境はすぐそこだが、時差でキルギスより1時間、ウズベキスタンより2時間遅い。
ここを出発するとすぐに車内の後ろの方がバタバタと騒がしくなる。何をやっているのかな?と思って覗き込んでみると、なんと!ベッドメーキング中。思いもよらなかったが、このバスは寝台バスだったのだ。中国などで利用した寝台バスとは根本的に構造が違って、昼間は普通の座席。ちょっと見ただけでは普通のバスと何ら変わらない。強いていえばこのクラスのバスにしては、なぜかリクライニングできないな…という疑問(というか不満)はあったが。 走行中に乗客を通路に立たせて、車掌がシートを畳んだり、引きだしたりしながら2段ベッドを作ってゆく様子は楽しい。乗客もみんな遠足のようなノリではしゃいでいる。その様子を写真に撮らせてもらったりしながら、自身もワクワクして順番を待っていたのだが、なんと、自席はベッドにしてもらえなかった。最前列と中央ドアの前後の数席は構造上か単なる端数切り捨てか、寝台にはならない。これはとても残念。確かに寝台幅はとても狭くて、隣のおやじさんと引っ付いて寝るのもどうかと思うが、やっぱり羨ましい。
深夜未明、国境に到着。長い車の行列に加わった。乗客は起きて係官にパスポートの提示をするだけでよさそうだが、それはキルギス・カザフの人だけ。乗客の中にいた2人の外国人、自分とウズベク人はバスを降りて詰所へ。その間、車掌が付き添ってくれたので心強いが、いずれにしてもやっと寝ついたところだったのでひどく面倒、自分の場合はパスポートの増補ページにカザフのビザが貼ってあっだのだが、その増補ページ自体が胡散臭く写ったらしく(確かに増補ページはセロハンテープが付け根にベタッと貼ってあったりするので、見た目は怪しい)係官はしきりにテープ留めのところを指でいじったり、事務所へ持っていって照会したりでずいぶん待たされ、約小1時間かかってやっと国境を越えた。
ここからビシュケクまではひとっ走り。ちょうど夜が白んだキルギス時間4時半にターミナルに到着。ちょうど南方に聳える山々の山頂の雪が赤く染まって、とても綺麗。ここまでのウズベク・キルギスの平坦で単調な風景に飽きてきていただけに、いきなりの雪山の歓迎でキルギスの第一印象は◎ |